職員室の声

職員室の声

 

 

鹿児島第一中学校・高等学校職員が、週2回、リレーでお届けするフリーメッセージです。

 

The Blue Bird(曽山)

2020-01-21

 

校舎南側の桜並木には一年を通して野鳥が訪れ、夏場には中学校の玄関まで入ってくることもあります。ヒヨドリ、ムクドリ、ハクセキレイなど、鳥の世界ではメジャーな種が多い中、ごくまれに「青い鳥」も来ているのをご存じでしょうか。その名は「イソヒヨドリ」。オスの鮮やかな青色は大変珍しく、腹のレンガ色とのコントラストも目を引きます。また、ツツピーコー!ととてもよく通る美声の持ち主でもあります。

 

イソヒヨドリはその名のとおり磯や岩場に生息していたのですが、近年街中に進出しつつあるそうで、確かに公園などでもよく見かけ、その都度ささやかな幸せを感じることができます。これはやはりメーテルリンクの童話が連想されるためでしょう。主人公のチルチルとミチルが過去や未来の国で青い鳥を手に入れるものの、現在の国に来たとたん真っ黒になってしまう。困り果ててふと自分の家の鳥かごを見ると、そこに青い羽根があった。すなわち彼の作品における「青い鳥」は、珍しい物、簡単に手に入らない物(=幸せ)の象徴であり、「幸せは過去や未来ではなく目の前の現在にこそあるのだから、今を大切にしなさい。身近な幸せを見落としてはいけないよ」というメッセージには時代や宗派の違いを超えた普遍性があります。

 

 

このストーリーが元になって「青い鳥症候群(Blue Bird Syndrome)」という言葉も生まれ、「本当の自分はこんなんじゃない!」と言って「自分探し」に奔走し、結局何にも満足できないような人を批判するのに使われるようになりました。ただ思うに、チルチルとミチルはあちこち(時空ワープしてまで)駆けずり回ったからこそ、本当の幸せのありがたみが分かったのではないでしょうか。最初から手元の青い羽根を見つけていたら、感慨も何もなく、人間の幅も広がらなかったでしょう。

 

折しも受験シーズン。進路決定に頭を悩ませている諸君、ぜひこれからいろいろな世界を見て、自分だけの青い鳥をつかまえてほしいと切に願います。