卒業の時期になると良く思い出すことがあります。「巣立ち」という、鳥が巣を立ち、自分の力で生きていく話です。尊敬する一人である国語教師の先輩が、3年生に次のような話をしてくれました。
鳥の王様である「鷹」は自分の子を育てるとき、それこそ断崖絶壁のところに巣をつくるのです。まず外側にとげのあるように枝をとってきて、それを組み合わせ、その内側に木の葉などを敷き詰めます。そして最後に親鷹の柔らかい暖かい羽の毛を揃えます。そこで抱卵といって温められると、やがて雛にかえって、黄色い口ばしで餌を求めます。親鷹は可愛い雛にせっせと餌を運んでやります。
ところが、子供が大きくなり、十分独り立ちできるようになると、あの巨大な翼で大きく羽ばたき、内側にあった柔らかい羽と続いて、敷き詰めていた枯れ葉などを散らしてしまうのです。痛いですからそこにはいられません。飛び立とうとしますが恐ろしくて立てない。しがみつこうとすると、とげが刺さり赤い血が流れていきます。
こうなって、どうすることもできなくなって、思い切って大空に飛び立つのです。飛び立てば自分の翼の力で飛べることを発見するのです。これを「巣を立つ、巣立ち」というのです。つまり、自分の力を信じ、自分の力で未知の大空へ飛び立つのです。
間もなく、その「巣立ち」の日がきます。3年生を卒業する皆さんは、その準備も整っていると思います。見送る後輩の皆さんも「巣立ち」の卒業生に心を込めて拍手おくりましょう。
3年生のみなさん。ご卒業おめでとう。
お父さん、お母さんに、感謝の気持ちを伝えましょう。
(文責:上薗)